【全3回シリーズ】Jacky柴田のマーケティング道場「アフターコロナ (特にデジタル化)」と「企業のマーケティングの変化」
羽村市では、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会経済の変革の中での事業継続を支援するため、マーケティングセミナーを開催します。流行性の視点よりも 「長期的視点・汎用的視点」 を重視し、「時代に対応しながらも目先の動きに惑わされない」経営戦略を立てられるように、事例を交えてお話しします。
【開催概要】
日 時 : 第1回 2021年 2月 3日(水) 17:00 ~ 19:00 (開催済)
第2回 2021年 2月 24日(水) 17:00 ~ 19:00
第3回 2021年 3月 11日(木) 17:00 ~ 19:00
実施方法: オンライン会議システムZoom
原則、オンラインでの開催ですが、第3回については、希望者は羽村市産業福祉センターiホール
(羽村市緑ヶ丘2-11-1)でも聴講可能とする予定です。
定 員 : オンライン参加 100名(先着順) 現地会場への参加 35名(先着順)
お申込は最下部”お申込みフォーム”よりお願いします。
費 用 : 無料
講 師 : Jacky 柴田 正幸 氏
エレクトロニクス関係の取材記者の後、コンサルティング会社勤務。
コンシューマ・マーケティング部門の責任者として食品、家電、自動車、住宅、化粧品などの分野でリサーチ、商品開発、コミュニケーション戦略などマーケティング全般にわたって経験。
1994年、独立してJacky Marketing Office 代表。
SBI(スタンフォード研究所よりスピンオフ)でJapan-VALSのプロジェクト・マネージャー兼務。東京理科大学大学院 MOT 講師。
2020年は、新型コロナウイルスの蔓延に世界中が振り回された大変な一年となりました。今回のパンデミックは、私たちの生活環境だけでなくビジネス環境にも大きな影響を与えるきっかけになっています。その中でも代表的な変化といえば、非接触効果が期待されるインターネットによるオンライン化でしょう。遠隔会議システムを活用しての在宅勤務率の急増が示すように、先進諸国の中での遅れが指摘されながら遅々として進んでこなかった日本のデジタル化も、やっとその重い腰を上げることになりそうです。
さて、これまで私のこのセミナーでは、「変化する時代環境の中でも、なかなか変わりにくいマーケティングの基本」 を中心にお話してきました。世界を揺さぶっているコロナ禍も、やがてワクチンが開発され治療法も確立されて終息します。ですが、コロナ騒動が引き起こした日本のデジタル化という変化は、今後の私たちのビジネスのあり方に不可逆的に大きな影響を残すことになりそうです。となれば 「マーケティングの基本」 にも幾分の見直しの必要が出てきたようです。
今回のセミナーでは、デジタル化をはじめとする激変する環境下で 「マーケティングの変化する部分」 と、それでも 「変化しにくい部分」 を整理・検討し、今後の企業にとって重要なマーケティング姿勢を考えていきたいと思います。
「デジタル化」 は手段・ツールですから、道具立てが変わればそれを扱う Do How も大きく変わります。スマホ世代の子供たちの中には、タブレットは使えてもパソコンは使えないという例もみられます。使いこなしの Do How、つまりリテラシーの差が存在するからです。一方、「顧客ベネフィット」 という考え方は Think How であり、ビジネスの土台としてその重要性は続きます。古今東西、BtoC でも BtoB でも、顧客はベネフィットに対してお金を払うという点では変わりありません。問題は、両者の接点である 「手段やツールの進化によって、顧客ベネフィットの内容が変化してくる」 ところにあります。ここをKnow How (ビジネス現場で顧客ベネフィットを実現する力) として習得することが、これまで以上に重要性を持ってきています。このセミナーから、自分たちなりの 「ビジネス Know How」 を獲得するヒントを得て頂けたらと思います。
内 容 :
第1回 2021年 2月 3日 (水) 17:00 ~ 19:00 (開催済) 「Company/デジタル化の中での自社固有価値構築の注意点 ―ロングテールとメガヒットの狭間/二極化する市場の中での立ち位置 -」 |
インターネット黎明期、「ロングテール」というキーワードが提唱されました。インターネットの検索機能を駆使して、人々は自分の嗜好・要望にぴたりと合う商品サービスを探し出すようになる。すると、メジャーな商品からニッチな小商いの商品サービスに市場の比重構成が移っていく。小型商品の種類が格段に増えていく筈だという、これがロングテール(しっぽが延長する)という説です。聞いてみると、なるほどと思いますね。実際、手に入りにくい古本 (しっぽ=テール) などは、アマゾンのサービスで探すようになりましたね。では、最近話題の「鬼滅の刃」のような記録的大ヒットはどう考えたらいいのでしょう?しっぽどころではなく、いまだかつてない途方もなく大きな頭 (ヘッド) ともいうべきもので、ロングテールとは逆の現象です。まずは、テールとヘッドの二極分化が生じる背景とその構造を理解する必要があります。このセミナーに来られている方の多くは、テールとヘッドの中間市場に基盤を置く中堅企業の方でしょう。今、この中間市場はテールとヘッドの両端から徐々に浸食されつつあることを実感されているかもしれません。二極分化の狭間でいかに自分たちの立ち位置を求めるかという問題は、皆さんにとって重要課題となっています。第1回目は、急進するデジタル化によって引き起こされる二極化の狭間に立つ中堅企業が、固有の価値を高めていく対策についてお話したいと思います。 |
第2回 2021年 2月 24日 (水) 17:00 ~ 19:00 「Competitor/競争環境の枠組みを捉え直した強者と弱者の戦略 ― 鶏口となるか牛後となるか/次々に登場する新市場 -」 |
これまで行ってきたセミナーの中で、「強者の立場にある企業と弱者の立場にある企業では、競争の仕方が異なる」 ことを何度もお話してきました。具体的には、中堅企業は強者企業の戦略を模倣するのではなく、自らを弱者と割り切って自社の強みに集中特化することの大切さです。この場合、強者と弱者を分けるのは企業の規模ではなく、競争範囲における影響力の差であることに注意が必要です。キユーピーは味の素に対して企業規模で劣りますが、マヨネーズ市場においては圧倒的シェアを誇っています。従って、同市場ではキユーピーは強者戦略を、味の素は弱者戦略を採用することになります。実は、強者・弱者の戦略を考えるにあたって、もう一つ重要な視点があります。それは 「競争している市場の成長段階」 です。出来立てほやほやの新市場、すなわち導入期の段階においては、強者の立場は確定していません。例を挙げれば「電気自動車」市場、冒頭でも触れた最近急成長中の「遠隔会議システム」市場などです。一見するとテスラや Zoomが強者に思えますが、まだ市場自体が安定成長期に入っていませんので、後発参入した弱者企業の逆転も充分にあり得ます。実はここにこそ弱者企業の面白みがあります。既存市場に執着するのは強者の宿命です。つまり、イノベーションのジレンマですね。ということは、弱者の方が新しく誕生した市場にチャレンジしやすいということもできるのです。第2回目は、競争環境の枠組み自体を再設定することで、弱者が強者に変貌する可能性があるということを考えてみましょう。 |
第3回 2021年 3月 11日 (木) 17:00 ~ 19:00 「Customer/顧客が主導権を持つ市場でのベネフィット探索 ― 企業発信型と顧客発信型の情報共有/主体化と帰属化の併存 ―」 |
「顧客ベネフィット」 という考え方の Think Howは変わらないと前述しましたが、デジタル化によって、その共有の仕方や広がり方はかなり変容してきています。かつては、企業が発信する宣伝広告や口コミが共有化の主要方法でした。企業側が情報をコントロールできていましたし、顧客自身の発信は口コミという極めて狭い範囲に収まっていました。この状況をデジタル・ネットワークが大きく変化させました。今では SNS が力を持ったことで 「企業発信」 から、「顧客間の相互発信」 へと顧客側に主導権が移り、しかもかつての口コミに比べてその到達範囲は極限化しています。そして、もう一つの大きな変化が質的変容です。有名な 「マズローの五段階欲求説」 では、人々が最終段階として求めるものは 「自己実現欲求」 ということになっています。ところが今、自己実現のような自立性から、「所属する狭いコミュニティへの帰属化・同調化」 という他者追従の動きが起きています。あたかも、マズロー説に逆行しているかの如くです。帰属集団から仲間と認めて欲しい、嫌われたくない、無視されたくない、との思いが、「いいね!」 プレッシャーを引き起こし、何かのきっかけに他のコミュニティへ次々と広がって爆発的な流行となる。BtoB も他人事ではありません。取引先の担当者もこうした性向を持った一個人だからです。自分が帰属する集団内 (産業クラスターを含めて) での積極的情報発信・情報交換と、その集団への帰属化・同調化が企業にとっての競争条件を一変させる可能性が出てきます。第03回では、こうした人々の主体化と帰属化という一見矛盾する動きが、企業の活動にどのような影響を与える可能性があるかを考えてみる予定です。 |